気配り


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2007年06月11日(Mon)
気配り

「晩鐘」「落穂拾い」で有名なフランスの画家、
ミレーがまだ無名だったころ、
ストーブで燃やす薪も無く、
妻子と共に飢えと寒さで震えていました。

ある日、親友の・ジャン・ジャック・ルソーが
尋ねてきました。

ルソーは、「エミール」「告白録」で知られる
哲学者です。

ルソーは、画室にかけてある一枚の絵を見て言いました。

「これは素晴らしい傑作だね。」

「実は、知人から、君の絵が欲しいと頼まれているんだ。」

「絵の選択は、私に任されている。」

「よかったら、この絵を譲ってくれないだろうか?」

「いいとも、よかったら持っていってくれ。」

ミレーが承知すると、
ルソーは懐から封筒を取り出し、言いました。

「この代金は知人から預かってきたものだけど、
 いくら入っているかわからない。」

「でも僕に免じて、
 ここに入っているだけにしてもらえるだろうか。」

ミレーもまた快く返事しました。
「いいとも。」

さて、ルソーが帰ってから封筒を開けてみて
ミレーはびっくりしました。
当時のお金で500フランも入っていたのです。

ミレー一家は、久しぶりに喜びにあふれました。

それから数年過ぎて、ミレーがルソーの家を訪ねると
あの絵が居間の壁に掛かっているではありませんか。

その瞬間ミレーは、ルソーの友情の深さを知ったのです。

ルソーは友の貧苦を見かねていましたが、
そうはいっても心苦しい思いはさせたくない。

それで架空の人物に託して、絵を買い取ったのです。

ミレーはルソーの手を取って、
「ありがとう」と、一言言いました。